Q.1 核医学治療とはどのような治療法ですか?

 核医学治療は、放射性物質*1を含む医薬品(以下、放射性医薬品という)を静脈注射もしくは経口投与し行う治療法です。投与された放射性医薬品は病変(病気によって組織や器官ががんとなるなど、変化が起こっている状態)に集まるため、放射性医薬品から放出する放射線が治療に役立ちます。

 核医学治療は、病変に放射性医薬品を集めて行う治療です。そのため、病変以外の臓器の機能を保つことができます。さらに、手術に比べて治療に伴う痛みや、他の治療薬と比較して副作用が少ないことから、患者さんの負担が少ない治療法です。

 近年、がんの診断から治療まで一貫して実施するセラノスティクス(theranostics) が注目を集めています。セラノスティクスは、治療(therapeutics)と診断(diagnostics)を合せた造語で、がんを標的とした画像診断と治療を一貫して実施する新たな医療技術です。核医学セラノスティクスでは初めに核医学診断(分子イメージング)でターゲットとなるがん細胞の発現を確認し、次にがん細胞に対して、核医学治療(放射性医薬品の使用)をおこないます。