核医学診療国民会議 設立趣意書


 放射性医薬品を用いて行う核医学診療は安全性と有効性に優れ、病気の診断や治療になくてはならない医療の分野です。特に、放射性医薬品による治療は内用療法(内照射療法)と呼ばれ、主に甲状腺疾患、悪性リンパ腫の治療、がんの骨転移に伴う痛みの緩和など、他に代替治療のない患者さん達に対して行われてきました。

我が国の核医学診療は、厚生労働省管轄の医療法や周辺の関連法規、原子力規制委員会管轄の放射線障害防止法などによって二重三重に規制されており、これらは新しい診断法や治療法が普及する際の足枷となっています。また、そのため、我が国では核医学内用療法の普及が著しく立ち後れてしまいました。諸外国で開発・実施され、安全性と有効性が知られていても、国内で実施できず海外に渡航して治療を受けなければならない患者さんがおります。国内で可能な内用療法でも、医療機関の受け入れ可能患者数が不足しているために、早期治療を受けることができず、予後に悪影響が生じています。治療を必要とする患者さんから、がん診療や核医学診療に携わる多くの医療人から、迅速な問題解決を望む声が大きくなっています。

 昨年6月には、核医学内用療法に関わる規制緩和と国内での普及のために、「必要な対応を検討及び引き続き研究開発の推進を進めてまいりたい」との答弁書が閣議決定されました。今こそ、関係当局に"患者さんの声""国民の声"を届け、適正な核医学診療の実現を図る最良のタイミングです。すべての関係者の声を一つにし、患者さん目線、国民目線で活動を行うためのプラットフォームを構築することを企画しました。プラットフォームには、患者さん(国民)、学識経験者、核医学診療の専門家、核医学診療を支える企業の方々の参加が必要です。

 以上を鑑み、核医学診療環境の改善と適正な核医学診療の推進を図るために、"核医学診療推進国民会議"を設立し、その事務局を設置いたします。つきましては、本活動に対するご理解、ご支援を賜りますこと、心より願っております。また、賛同いただける企業、団体の皆様のご参加をお待ちしております。

核医学診療推進国民会議

代表  絹谷清剛

副代表 大井賢一

同   眞島喜幸

平成29年7月27日